第0回会議 Day1:2020年5月3日

1日目(2020年5月3日)

14:25~14:50 オープニングトーク【岡本真】

今回の新型コロナウイルス感染症の拡大で、図書館は「リアル施設」が使えないとほぼ機能不全ということが如実になった。しかし、実際にはリアルな施設のみでサービスが行われているわけではない。改めて今図書館像が問われていて、これからどうするか考えるチャンス。

日本では1950年に社会的諸制度がそろった。2050年は1950年の図書館法制定から100年、この会議は2050年を目指したい。振り返ったときに、ここに大きな転換点があったと言えるような話し合いになればいいと思っている。

14:50~15:17 ターン#1.「図書館」(仮称)のデジタル化・ウェブ化・オープン化をどのように進めていくか【進行:岡本真】

問題提起

  •  「図書館」(仮称)のデジタル化・ウェブ化・オープン化をどのように進めていくか。
  •  いわゆる図書館に限らない、MLAを含めて考える。広くとらえて議論していく。
  •  一つの論点として、国立国会図書館デジタルコレクション*外部リンク がフルオープンになってほしい。

主な発言

結論または課題

  •  図書館は館種により使用範囲が縦割り。公共図書館は出版界のデジタル化の課題の影響を受けざるをえない。学校や大学図書館は、デジタル化にかかわる実践や方途が課題。
  •  授業の中では、本の一部をデジタル化して教材とすることはできる。
  •  公共図書館では、郷土資料は県立図書館で電子化していく必要がある。同時に、データベース化と保存については、地域の出版社・新聞社と連携する必要がある。

15:27~16:06 ターン#2.「場」としての「図書館」(仮称)はどのような進展していくのか【進行:岡野裕行】

問題提起

  •  『ライブラリー・リソース・ガイド(LRG)』第30号 (2020年冬号)対談 あらためて考える、サードプレイスと図書館、『サードプレイス』(レイ・オルデンバーグ )、『知の広場』(アントネッラ・アンニョリ)などのキーワードで、「場」としての「図書館」(仮称)はどのような進展していくのか。
  •  公民館と公共図書館を合わせたような公共施設のコミュニティを作るときに、来館できないと難しい。デジタルに移っていく中で、リアルな図書館で会うということの必要性の有無。
  •  「新しい閉架」という考え方。知的な場としての図書館、娯楽の場としての図書館についての考え方。

主な発言

  • 専門図書館や博物館図書室には、専門的に集められた知識があり、利用者の目的もはっきりしている。
  • 公共図書館におけるインターネット環境(Wi-Fi・zoomの利用等)の遅れと整備の必要性。
  •  図書館の役割について。情報がとりたくても取れない人への配慮や、インターネット予約郵送貸出サービスにおける新たな格差創出の可能性。
  •  人が情報を求め、知りたいはずだと思っているという前提への問い。市民の知りたいという思いと図書館員のイメージのギャップについて。
  •  図書館は書架・開架の魅力について。知りたいことがなくても、本を手に取ることで好奇心が喚起される例。
  •  誰にとっての「場」なのか。特定の図書館利用者以外を対象とした「場」の考え方について。
  •  場としての図書館論における2つの意味。「情報がある場所で複数の人が対話を行えるコミュニケーションの場」「普段図書館に来ない人に対し、イベント等により興味のある場」であることを意識付けさせる。図書館がサードプレイスになるための2点が現在は機能していない。
  •  司書の電子化によるデジタル共有体験の場を作る可能性。

結論または課題

  • 『サードプレイス』(Oldenburg, Ray. The Great Good Place.)は30年前の地域が住みにくくなってきた時代背景のデジタルが無い時代に出版された。家庭と職場が1と2で、3をどこにするか。デジタル=サードプレイスと読み替えられるかは難しいが、今後なり得るか。
  • 休館中の情報発信が重要。例:県立長野図書館「コロナ対策中でも図書館でできること」*外部リンク
  •  サクッと閉鎖されてしまう現在の図書館を、公共空間として再定義する必要性。

16:06~16:45 ターン#3 実空間と情報空間の「図書館」(仮称)をどのように融合していくのか【進行:日向良和】

問題提起

  •  人に来てもらうために図書館が何かするのでなく、情報のインフラとして、図書館の存在を主張すべき。ただ、コミュニケーションの場という役割は必要。
  •  デジタルとリアルの役割に注目する。
  •  博物館に比べると、図書館のほうが情報空間につながり、目録でどこに所蔵があるかまでわかるが、もう一歩先に行かないのはなぜか?

主な発言

  •  学校図書館の、居場所として役割、コミュニケーション体験を通して情報に出会える「場」の役割の重要性と今後のあり方について
  •  情報を受取る場としての図書館、図書館とのつきあい方の基礎を学ぶために担っている学校図書館の役割について。デジタル化云々の前に果たすべき役割が重要。
  •  メディアチャンネルが中高生になると増え、図書館相対的比率が減る。

結論または課題

  • 朝読や読み物メインから学校の情報センター的役割が与えられ、学校図書の未来はむしろ明るい
  •  融合というのは、同じ時間で進行できるということ。若い人は同時に何か出来る感覚がすでに養われている。
  • 「説明」を提示するのではなくて、「問い」を置くのがこれからの本当の図書館。その観点からの選書や場のしくみ。高校生や中学生にも何かしらできる。Web上にたくさんの問いを置くことも可能。「問い」が置かれていると場があると、情報は繋がったものの先に行ける。
  •  キュレーションできる力の必要性。
  •  今所蔵している資料の見直しが大切。特に地域資料のデジタル化が効果的。
  • 効率的な情報発信のためのプラットフォームづくり、仕組みづくりの重要性。SaveMLAKの取り組みが参考になる。ローカルな情報とグローバルな情報は分けて、2つの入口を図書館が持てば効果的。
  • これまでの公共図書館は技術的には出来たのに面倒くさいからやってなかったことが多数ある。今は面倒くさいからやってなかったことができるチャンス。30年前の図書館が、蔵書の目録を採る、目録の電子化など面倒くさいことをやったので図書館の蔵書情報がつながっている今がある。
  •  従来時間をかけて行ってきた対面サービスから新たなサービス形態への移行。オープンデータ化のチャンス。
  •  Webにより図書館が家庭に届くものになる。

16:45~17:00 ラップアップ#1【砂生絵里奈】

これまでなかった視点として、経済が厳しい状況になっている。同時に税収も厳しい状況となっている。今後、図書館にお金をかけられるかが論点となり、学校図書館にも波及するだろう。双方ともに気に留めていくことが必要ではないか?

 できるだけ早く、やりたいことを主張していく必要がある。


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