第0回会議 Day2:2020年5月4日

14:21~14:30  オープニングトーク#2【岡本真】

2050年に振り返りができる対話を

今回のコロナの状況を受けて幅広い議論が必要と考えてこの場を作った。1950年に図書館法、放送法 ができてから70年経った。もうすぐ戦後の諸法規が作られてから100年経つ。今のこの時期が、この100年間の歴史の見直しやアップグレード・ダウングレードが行われたという機会になるといい。今から30年後の2050年に振り返りができるよう、行動に移していきたい。その実行の見取り図になるような議論ができれば。

Ask Anythingの時間もあるので、話したいことを出してほしい。長期的な話しかしてはいけないと考える必要はない。今日明日に対する不安がある中での対話は必要で、ちょっとした不安などもためらわずに議論してほしい。支え合いの時間となることも重要だ。他の人のことばにも耳を傾けていただきたい。

14:30~15:08  ターン#4【進行:桂まに子】

「情報」「空間」「人」3つの要素はどうなっていくのか

問題提起

   現在来館することが困難な状況で図書館は場でなくていいということをリ・デザインする、変わる時がきているのではないか。

主な発言

  • 紙の本でなくてはいう部分もある。閲覧性や、比較しやすさ。初版本というインパクト。複製物しか扱われていないことも大事、初版、文庫版、それぞれに違う。
  • 大学の研究所はもう紙の本を購入も貸出もしていない。モノ、電子ジャーナルを購入している。
  • 2050年に公共図書館にどういう仕事があるのか。まだ紙の本を貸出しているのか想像がつかない。
  • 図書館が大変なのは、情報は全部といっているところ。全部といってしまうと思考停止ではないか?
  • 「情報」をあつかうスキル、資料をどう扱ってきたか等の振り返りが必要。
  • 他の人が作った情報を集めて見つけやすくするのが図書館ではないか?

結論または課題

  • 図書館は自らいい情報を増やしていくことも大切。オープンアクセスの世界を作っていく。
  • 「情報「空間」「人」3つの要素をいかに拡張していくのかが今の図書館に求められていることではないか?図書館の人に限らず、周りを含めた人に拡張していく。
  • 図書館がと考えるだけでなく、社会的に情報をどのように発信・蓄積・検証・保存するのか、そういう社会的装置をどうつくっていくのか、公共的な機能としてどうデザインしていくのかを考えたい。
  • 今はすべての人がそれぞれなりにその道筋を辿れるということを考えたい。それができる技術・時代。

15:20~16:03(40分) ターン#5【進行:中俣保志】

情報は十分に届いているのか

問題提起

今までの議論をうけてでもいいし、過去の話題でもいいし、話題提供をどなたでも。

主な発言

  • 誰かが記録し、保存して、検証できるようにしたい。検証できる機能としてライブラリーは必要。
  • 公的な情報を集め、アクセスできるように整理保存するのは公文書館がメインアクターになるのだろう。学問や研究のためにはジャーナル、大学図書館。公的なこと以外の市井の人たちの記録、メディアの記録は本というものに固定されて、図書館というところに保存されアクセス可能になっていた。
  • 現在の図書館は人々も求めに応じてできるだけすべてに答えようとすると、全部必要だけれど、地域性を考えて農業コーナーを作ったりしているところもある。それと別にすべての人にと考えるなら、義務教育+アルファのことが学べるような形になっているとよいのではかいか?例えば統計の知識の基礎は持っていたほうがよい。学校で習えなかった人に提供できるものをそろえておく。
  • 人々がアーカイブにアクセスして、考え、そこから創造していく社会になることが重要と考えている。どうやってそういう市民社会をつくるかに興味がある。
  • well informed citizenという言葉がある。図書館の教育機能が大事だと思った。
  • 人口一万くらいのまちの図書館では、数万の蔵書しかなく、その蔵書だけを見ていたら、well informed citizenを果たせる状況とは思えない。収蔵状況から離れた情報をどうカスタマイズするか。
  • 公共図書館も学校図書館も大学図書館も、その人にとっての身近な図書館が窓口、入口。複数の館種の横断検索がネットワーク化され、本文もできるだけ公開していくことで、「全部」につながっていくのではないか。実現していきたい。
  • 本を読めない人はググれないという実感がある。上手にググってYouTubeを見られる人は本も読める。とんでもないキーワードで検索していれば、いい情報にたどりつけないし、自分の要望も言葉にできない。
  • 学校では調べ学習の課題を、図書館を使わずに済ませる子が多い。図書館に課題学習に答えるだけの資料がないこともあるし、こちらが対応を準備していても学校図書館に来ることがないこともある。
  • 「知る」のほかに「楽しむ」もあると思う。音楽なども。図書館の機能の一つとして重要ではないか。

まとめ

「あとから検証できるように、社会的機能としてのライブラリーの構想が必要」という視点から、さらにはそうしたことを意思決定として意識できるリーダー、一方で、リーダーシップと利用者の間の議論としての「十分に情報を得ている市民(WELLーINFORMED CITIZEN)」の存在を意識できるのか、三相の視点が必要だという議論、あるいはアウトリーチとして「十分ではない情報しかない方」へのアプローチ、さらには「十分に情報を得ている市民」育成のための教育という意味で学校との接点、こうした出された点を自分自身としても、市民セクターにどうつなげていくのか、司書養成課程としてもどうしていくか継続して考えたい。

16:03~16:45  ターン#6【進行:くさかきゅうはち】

Ask Anything

  • こうした場の感想で「議論が煮詰まらなかったよね」という発言を聞くと脱力する。こんなに短い時間で、議論はまとまることはない。今回は第0回、今後は必要に応じてこのような場を作ってゆきたい。
  • どうやって図書館職員は成長するのか、その仕組みをつくるのはどうすればよいか。司書課程では図書館の運営を教える課程はない。現状で運営の人(館長)を育てる場は、国社研とステップアップ研修があるがこのふたつだけでは充分ではないと思う。
  • 大学図書館では、司書課程で学んだことがあまり現場で生かせないので、OJTが充実している。長期研修(幹部研修)が全国から集まって行われる。現在のホットトピックや図書館外の人にも話を聞く研修。受講して、「業界を率いていく」というメッセージ性があると感じた。
  • 司書職には人材育成計画がないが必要だと思う。
  • 司書養成と地域に飛び出すキュレーターと、さらに保育士や心理士など周辺の多職種連携とミックスさせる、福祉での地域包括が読書・図書環境でできると良いと思う。
  • どういう人になりたいか、どういう人が必要か、どういう人材を育成するか、をプログラムすることを考えよう。そして、出来ていないと思うなら、図書館をそうしよう!自分たちの自己学習ができないと、ほかの専門職は使わないのではないか。
  • 司書自身が自分の課題についてCiNii(あるいはレファレンス協同データベース)を使ってダイレクトに研究者と共同プロジェクトなどしてもいい時代じゃないか。
  • 公務員として最高経営層になるにはどうするのか、人事配置はどうすべきか、人材育成計画をどう作成するのかノウハウを身に着ける必要がある。

16:45~17:06(15分) ラップアップ#2【進行:平賀研也】

2日間いろいろな話が聞けて楽しかった。コロナありがとうという気分。

  1. 「図書館」(仮称)のデジタル化・ウェブ化・オープン化をどのように進めていくか
  2. 「場」としての「図書館」(仮称)はどのような進展していくのか
  3. 実空間と情報空間の「図書館」(仮称)をどのように融合していくのか
  4. 「情報」「知識」の創造・流通・保存・利用等を「図書館」(仮称)は/で、どのように行っていくのか

4つのテーマを中心に話した。4つ目はあまり話ができなかったかもしれない。

「情報・空間・人」をこれから拡張していくっていうイメージはみんな持っているようだ。

「情報」という言葉については、誰に向かって、どんなものなのかというところは十分に議論し尽くせなかった。

「場」については、館という物理的空間ではなく、まちの中にある公共空間としての図書館はどう機能していくか、地域社会の中の人々とどうつながっていくのか。サードプレイス論みたいなことはそれに関わる。

そして「人」については2つある。いわゆる「利用者」ではなく、「地域社会の人」とどうつながっていくか。そこで図書館の司書はどんな役割を果たすのか、これらも論議が必要だ。


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