未来へのおくりものを育てていこう |「図書館」(仮称)リ・デザイン Advent Calendar 2020

 2020年。COVID-19の流行で、遠くへ出かけたり、誰かとリアルに会うことが自由にできなくなった。感染者数を見比べて、どう行動するか決めるのが日常になった。物理的な移動がしにくくなり、図書館も緊急事態宣言の最中には90%以上が閉館した。

 一方で、急激に進んだのがオンラインを通じてのコミュニケーションや活動だったと思う。COVID-19によって推し進められたオンライン化により、これまでは距離を理由に会えずにいた人たちと自分の興味関心を軸に出会い、交流することができるようになった。

「図書館は世界中の図書館と繋がっていて、どこからでも情報を探して来られるんだよ」

まだ図書館司書になる前の私に、図書館を語ってくれた人はそう言った。自分もそうありたい、と思ってカウンターに立っている。けれど「世界中」となんてまだまだ繋がった気がしない。生きているうちに「図書館に行けば、世界中の図書館から情報を探して来られるんだよ」を実現したいなと思う。

 オンラインの中で、人と出会う手段はかなり開けてきた。日本中のデジタルアーカイブを統合検索する仕組みも整いつつある。手元にある資料だけでなく、紙の媒体だけでなく、文字だけでなく。求める「何か」にたどり着くためにくぐるゲートであり、起点。未来の「図書館」(仮称)がそんな存在になったらいいなと思う。またそうなるように育てていきたいと思う。資料を大事に守っていくのも図書館の大事な役割だけれど、その資料がネットワークを通じてもっと人に届くようにするのも図書館の大事な役割。wwwとともに、世界中をめぐるもう一つのネットワークが未来の「図書館」(仮称)であったらと思う。wwwは私たちの世界を変えた。「図書館」(仮称)は世界と共生しながら世界を支えるネットワークを目指したい。

地衣類司書 子安伸枝


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