図書館(仮称)⇒共に広がる場の2050年、こう考える師走水曜日|「図書館」(仮称)リ・デザイン Advent Calendar 2020

この1年、「疫禍」が私たちに問いかけること、是即ち、「いかに今を生き抜き、語りついでいくか」ではないか、と強く感じる。未知なるウイルスとの闘い、プロセスをしっかりとバトンタッチしていく、現下、その渦にあって混沌とする社会で、特に公共の場に身を置く我々に課せられている命題かもしれない。

身近にも、3月から、利用制限が始まり、5月、政府の緊急事態宣言とも呼応し、サービスのほとんどを停止する休館状態となった。地域社会・コミュニティにとって、図書館が閉じる、身近なオンサイトの場が、完全に閉じる、再開の目途が立たないことがどれほどダメージになるか、身をもって知った。

しかし、こうした中、大きな「光明」があった。図書館に身を置く全国有志の皆さんと「つながり」を持つことができたこと、「デジタルトランスフォーメーション」や「オンライン」という言葉が世間で流行、持て囃されるより前から、全国の現場でさまざまな問題意識を持たれ、どう語り継いでいくかを真剣に考えられていた姿がこの公共の世界にあったと実感する。そして、ナチュラルな形で、オンラインに集い、新たな化学反応が生まれ、現状の把握からデザイン、社会へのコミットメントを生み出す大きな原動力となった。

こうしたストーリーに僭越ながら、自身もその一人としてその身があったこと、これは幸運というより、もはや奇跡とも思っている。刹那の出会い、出来事。「パブリックの奇跡」。

2050年、まず、いまの刹那がどう展開、社会がどう進展、後世に学術などさまざまな面でどのように評価・検証されていくか、それはまだわからない。しかし、上述の「化学反応」から多様な意見の尊重、その「こころ」から新たなモデルがデザインされていく、新しい「パブリックの奇跡」が、図書館(仮称)、公共の場の今後の未来展開図であることを確信する。

これを書いている師走の始まり、自身オンサイトの活動の拠点とする、関西文化学術研究都市(通称:けいはんな学研都市)のある場所で、仏教学者で僧侶でもあった鈴木大拙氏について、研究者による講演があった。氏の唱える「霊性」とは何か、仏教宗教を包含しながらも、宇宙を顕す基体として、本体認識不可能でありながら、個々人にその本質を見通すことができたとき、その真の姿をふれあう、こころで「感じとる」ことで、絶対自由の境地に到達、そして受け手の感覚、状況により、多様性を表出するものとしてとらえられる。それが「霊性の自覚」なのだ、と説かれる。また、氏は、特定の思想に拠らず、変数を含むフォーム(Formula)とも捉えていた。「図書館(仮称)」、公共の場の未来は、そうした多様性のフォームとなっていくのではないか、このことを偶然のまなびから強く感じた。
今後、多様なツールや情報を包摂していきながら、知性をもこえる、こころをどう感じ取っていく場となるか、漠然ではありながら、自身の思うリデザインのあり方ではないか、と思う。さらにみなさんとともに精励していきたい。
師走の水曜日、まなびとこころとともに。

  こころこそ こころ まよわす こころなれ こころにこころ ゆるすな、こころ
                                   (鈴木大拙)

               けいはんな学研都市を愛する公共図書館見習 呉服 淳二郎

参考文献  鈴木大拙著、佐々木閑訳「大乗仏教概論」(岩波文庫、2016)
      「日本の最終講義」(角川書店、2020)より「鈴木大拙」
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