「大好きだから会わない」なんて、変な時代ですね。
最後に会えたあの日みたいに、だんだん寒くなってきましたが、おばちゃんは元気です。
この冬は、かぜをひかないように、気をつけないといけないね。
でも、おばちゃんは大丈夫。だって、買い物以外、ほとんど外に出ないんだもの。
おはなし会や地域文庫は、なくなってしまったし。工作会やクリスマス会も、ありません。
がっかりしてないかって? 心配しないで。
やらないといけないことに追われることもなく、こんなにゆったり過ごしているのですから。
本当にしたいことは何なのかを考えながら、ぜいたくに時間を使っています。
「それやりたい」「それが聞きたかった」「それなら家でできる」
何をどうやったら、そんなふうに、また会えた時に言ってもらえるのかと、図書館の本を読んだり、パソコンで調べたりしながら考えています。
だけど、会えない時でも、人は書かれたものがあれば、これからのことを伝えあうことができる。
会えない時間が長くなって、心からそう思うようになりました。
だから、あなたに、この本を届けます。
メリー クリスマス!
『その魔球に、まだ名はない』 エレン・クレイジス(著)、橋本 恵(翻訳)
読んでくださって、ありがとうございます。
Setsu Tanakaと申します。私はコロナ以前、子どもが集まる、とある地域文庫のおばちゃんでした。
地域文庫とは、住民の、住民による、住民のための小さな図書館のことです。
その文庫に、転勤族だった私は、つてのない地での子育てを強いられ駆け込んだのです。20年近く前のことです。
そこは本のある遊び場を自称していました。本にまつわる活動だけでなく、小学校を借りての科学工作イベントや、サンタさんが手作りお菓子を配るクリスマス会、子ども自身が企画運営するおまつりなど、幅広い活動を行っていました。
私は、最初は子どもの付き添いとして、そして長居するうちに、なぜかスタッフの一員になっていました。
そして、コロナがやってきたのです。
その地域文庫は、しばらくお休みしています。
私の、本や子どもに関わるボランティアは、今現在、ほとんど活動していません。
しかし、私の住む市の図書館には、自由参加の児童図書関係の勉強会がありました。市民の「子どもの本のことを、もっと知りたい」という声に応えて、今世紀初頭に発足したと聞いています。そこには、市内はもちろん近隣市町村からも、子どもの本について学び合いたい大人たちが、定期的に集まっていました。
その会が、11月から再開されたのです。
初回は、「子どもと本についての現状報告会」をしました。次回以降は、前に挙げた『その魔球に、まだ名はない』の読書会をしたり、参加者同士がおすすめの絵本を紹介し合います。
withコロナになって、人と人が集まることの、方法や意味が変化しています。
人が密に集まれないから、そこに「本」が仲立ちすることで、コミュニケーションの新しい形が生まれるのではないか。
そんなことを頭の片隅におきつつ、afterコロナになったら、どうやって本や子どもたちと過ごそうか、と思案する毎日です。
一介の図書館利用者 Setsu Tanaka (CC BY SAで公開)
2020年12月4日