ライフのリ・デザイン|「図書館」(仮称)リ・デザイン Advent Calendar 2020

二十年近く、少なくとも大学図書館の変遷とともに、大学の中で働いてきた。
その時々で、「図書館」を「大学」を考え取り組んできたことの中には、今になれば役目を終えたこともある。単に担当業務として取り組んだことの中に、今に繋がる仕事もある。賽の河原に積む小石のような仕事かもしれないが、全て現場にいたからこそのことだと誇りに思っている。

そうした自身にとっては日々の仕事、大学図書館の通常の営みが今年、COVID-19の猛威によって転換を余儀なくされた。

学ぶこと、働くこと、生きること。
恩師の吉田民人先生は最後に、「諸君には人生を創造することができる」と言われた。思えば自分は大学でたいして勉強も研究もしなかったが、先生はよく「生涯一学徒として」「創造的な研究」をしたいと話されていたのは記憶に鮮明である。

「創造」とは何だろうか。変えられること・変えられないことを峻別すること。規範的に物事を考えること。あるべき未来を創ること。

家庭役割、仕事環境、出産、育児…様々な理由で数年の間、仕事以外の学びの場から距離を置いてきた。それが、皮肉にもコロナ禍によって、オンラインでの会議や研修が主になることで、自宅から様々な活動に参加ができるようになった。リアルタイムには通勤や家族の世話で耳だけの参加であっても、各種オンラインツールを使用して、後から読んだり、聞いたりして補うことができる。

いま、私は改めて学びたい思いを強くしている。

学びたい時に学びやすい大学はどんな大学だろうか、学びたい時に学びやすい図書館はどんな図書館だろうか。「図書館(仮称)リ・デザイン会議」は、未来(まずは30年後)のあるべき社会像を考えたうえで、そこにある「図書館」(仮称)を創造していく運動体であり、私にとっては生涯学習の場でもある。

一方では地道に大学の「図書館」で仕事をしながら、一方では現在から自由に解き放たれたあるべき「図書館」(仮称)を考えつづける。その手段として、自身も不断に学びつづけたい。

2020年12月16日

大学図書館職員 市東 礼位子

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