図書館を使い倒す|「図書館」(仮称)リ・デザイン Advent Calendar 2020

4年前に図書館のデジタルアーカイブ画像をオープンデータとして提供開始したことをきっかけに、自分の世界が広がった。職場以外の図書館関係の方やエンジニアの方々とつながりができ、どんどん視野が広くなっていった。

オープンデータの利活用については、いまも模索が続いているが、1年ほど前にオープンデータの提供条件をCC-BYからCC0への変更を検討していたときに、「利用しやすい条件でコンテンツを出せば、利用したい人が勝手に使う」、出典の記載についても「使用データに信頼性をもたせたいと思ったら利用する人が勝手につける」と言われ、至極納得したことがある。

また、図書館とあまり接点のないエンジニアの方々と話をすると、貸出以外の図書館サービスが知られていないことを痛感する。一方でレファレンス業務など、図書館の多様なサービスを紹介すると、とても興味を持ってもらえ、図書館外の率直な意見に刺激を受けることが多々ある。コロナで通常開館ができなかったときに、これからの図書館について尋ねられ、「図書館もいろんな課題を抱えているが、結局は図書館を使い倒してもらったら解決する気がする」と答えたことがある。

未来の図書館(仮称)を考えるにあたっても、まずは図書館がやっていることを伝え、図書館を使い倒してもらって、利用する人と働く人とが一緒に考えるのが第一だと思う。実際は、使い倒してもらうまでが大変だが、そこに至るまで一緒に取り組んでいくことで、新たに形作られるものがあるはずだ。

そして、もう一つ、図書館を使い倒してもらうためは、地道な環境整備が欠かせない。コツコツとデータ整備してオープン化するのと同じように、いろんな人がいろんな情報にアクセスできるように、地域資料の収集、本のラベル貼り、書架整頓、目録や検索システムの整備など、図書館員が日々やっていることが未来につながっている。レファレンスをはじめ、本にふれること、出版動向や利用状況を肌で感じることも蓄積すれば立派なスキルだと思う。図書館員の蓄積・ノウハウを表に出して、未来の図書館(仮称)について、みんなで一緒に考えていきたい。

2021年1月8日
公共図書館司書 外丸須美乃
CC BY