第3回会議:「2030年へ。対話を続けていく」を開催しました(2021年11月21日)

「図書館」(仮称)リ・デザイン会議では、第23回図書館総合展_ONLINE_plusで、2021年11月21日にフォーラム第3回「図書館」(仮称)リ・デザイン会議「2030年へ。対話を続けていく」を開催いたしました。本ページで、簡単に内容報告をいたします。

【はじめに】

開始時に、今回のリ・デザイン会議開催に向けた意図と思いを参加者の皆様にお伝えいたしました。

2050年──図書館法制定の100年後──、情報、知識、そして図書館は、どのようなあり方を示しているのか、真正面からそれを考え始めたのが、この「図書館」(仮称)リ・デザイン会議です。

2020年、「図書館」(仮称)リ・デザイン会議の開始。その契機はいわずもがな、COVID-19の感染拡大による生活スタイルの大変化、また“ひらくことができなかった図書館”です。情報・知識の枠組みをとらえなおし、再設計して、社会に定置します。「図書館」という言葉そのものも、とらえなおしていきます。

これまで、リ・デザイン会議としては2020年5月の第0回、0.5回、1回、2回の4回、運営会議は24回行い、2050年の「図書館」(仮称)について話し合いを続けてきました。今回は、LRG35号アーカイブに掲載されている議論のまとめやアドベントカレンダー年表などを材料として持ち寄り、2030年へ向けて、ざっくばらんに話し合う会として開催しました。今後もMLAK機関、またその利用者やここに関わるすべての人と、公共財としての「図書館」を考えていきます。どこにいても、どんな状態でも、考え、参加することができます。

私たちと一緒に、30年後、50年後、100年後の「図書館」をリ・デザインしませんか?

第3回会議タイムテーブル

  • 11月21日(日)13時〜(16時終了予定)
  • 13:00~ はじめに(行動規範の確認、リ・デザイン会議とはなにか) 
  • 13:10~ 対話 (テーマごとにブレイクアウトルームに分かれて実施)
  • 14:10〜14:20    休憩
  • 14:25~ ルームごとの報告 (振り返って意見交流)  
  • 15:00~ アフタヌーンティータイム(懇親会)

メインルームでは、UDトークを使用しました。またブレイクアウトルームでも使用しました。

全体集合写真

トークルームテーマ

活動が始まって1年半の間で、アウトプットされた内容、積み重ねてきた議論を踏まえて、そろそろきちんと、30年後の2050年の「図書館」(仮称)のビジョンを形にしていきたいと考えています。

情報(これには、いわゆる本、資料も含みます)」と「(中の人も外の人も)」と「場所・場(これは物理的なものも、そうなないものも含めて)」、「役割」、「つながり(仮称)」について、参加者全てが発話者となってフラットに車座になって対話しました。

参加者全員がビジョンの作り手なのです。

対話の素材となるこれまでの議論の経過や第1回・第2回の会議の内容は、「図書館」(仮称)リ・デザイン会議のウェブページにもあります。他にも、この1年半で、これからのことについてたくさんの文章が出ています。皆さんが感じえたこともあるでしょう。そういったものを基に2050年の「図書館」(仮称)のビジョンを描くために、今回は10年後の「図書館」(仮称)の姿を一緒に考えてみた第3回会議となりました。

情報ルーム

「Libraryの本質」図書館(仮)は2030年に社会のインフラとしてどのような情報をどう提供していくのか

ルーム

『アイメッセージで語る「わたし・図書館(仮称)・つくるひと」』:図書館員や利用者という枠組みを越えて「図書館(仮称)をつくるひと」は何ができるか?何をしていくのか?を語り合いましょう

場所・場ルーム

「Libraryはどんな場足りえるか」10年後の物理的な空間のLibraryは、場足りえるのでしょうか?『本の森』として現実の実空間に在るのか。Libraryは実在の場を超えてしまうのか共に語りましょう

ハッシュタグ #実在の場lib2030

役割ルーム

デジタル中心時代の役割を考える

つながり(仮称)

成長する有機体のような、ゆるやかな紐帯。知的好奇心・探究心の連鎖など、知識循環型社会のなかでlibraryを位置付けることをテーマに考えます

各ルームからの報告

全体参加人数:74人(当日15時時点)

「人」ルーム 報告:子安

司書はAIでもいいんじゃないか、という話題から、AIじゃなくて人間がすることってなんだろうという話が展開された。ゼロを1にするところは人間がアイデアを持ってやらないとできないのではないか。人が介在しないと起こりにくい。1を2や3にするのはAIでもできそう。安心、愛情、信頼を得たい気持ちは人間同士のコミュニケーションが必要。

インフォメーション はAIがしてくれても、コミュニケーションやエデュケーションは人が関わらないと。促進剤としての人。新たなライブラリーをつくっていくのがわたしたちだということが話題になった。

「情報」ルーム 報告:外丸

情報を提供する側、活用する側、さまざまな方がいた。

デジタル化の動きは進んでいく。デジタル化は国会図書館で進めるとして、地域で持っているオリジナルの情報のデジタル化が必要。小さな図書館もそこにあるオリジナルな地域の情報を発信していく。そして県域でカバーしていく。情報があることをどう伝えるか、どう使っていくかが鍵になる。

「場・場所」ルーム 報告:千田

神奈川県立図書館がなくなりそうになったことがあったが、図書館の場が持つ意味が伝わっていないと、またいらないんじゃないのという話が出てくるのではという話があった。バーチャルではリアルなブラウジングに勝てない部分がまだある。またインプットだけでなくアウトプットできる場でもある。誰でもアウトプットできる場があるといい。また1冊の本が独立しているのではなくまわりの本との繋がりの意味付けなどができるといいのでは。

図書館は生活の雰囲気を知ることができる、気を抜いていられる場所でもある。また、学校図書館での利用の仕方が大学にもつながっている。地域で図書館をどう計画していくか、育てていくかが重要。

「役割」 ルーム報告:日向

参加者は大学図書館が多かった、公共図書館の方がいなかった。図書館の役割はこの10年でどうなっていくかを端的に考えるルームとした。

アーカイブとして情報を集めて整理する、その情報をどう使うか、どういう情報を付加して使いやすくするか、メタデータの付与などは10年後も変わらないのではないか。デジタル情報をいかに探しやすくするかがこれからの社会で重要になっていく。

調査研究で使われる図書館と、読書のためのサロン、空間としての図書室に分かれていくのではないか。紙の資料を保存する図書館、デジタルの資料を提供する図書館に分かれていくのでは。

実物を保存する図書館と、今使われる図書館(デジタル)、デジタルのいいところは複製できる、悪いところは一瞬で消える、個々の自治体でちゃんと保存しておかないといけない。

利用、提供する方の役割は、ブラウジングの力、空間としてのベクトル、その空間にいくといろいろなことを考えてしまう力場、そこにいくと何かを思いつく、勉強したくなる場、またアーカイブした情報を発信、活用していく場ということが考えられる。

「つながり」 ルーム報告:長沖

つながる事をお酒に例えるとして、その原料にはアーカイブが向いている。では原料を培養していく酵母は何か。オンラインイベントで様々集まるようになった人たち、その集まった人たちが酵母だろう。多様な酵母が入るとお酒は美味しくなるが、何でもいいというのでは、品質は安定しない。その点、図書館はいろいろな館種がある一方、館種は違っても図書館という共通言語がある(質を保証する)。そしてそれらがレフェラルサービスを通してどんどんつながっていく。

ここで視点を変え、原料をゲームやマンガにしたらどうか。まだ図書館にはゲームやマンガはあまり置かれていないが、図書館という存在を介すると、ゲームやマンガも(教育の世界に)もっとマイルドに受け止められるだろう。レクリエーション機能は図書館の目的でもある。美味しいお酒(つながり)が実りそうだ。

ある図書館利用者の声:これまでは一部の図書館好きしか来ていなかったが、図書館が新しくなったら、図書館を利用する人が増えた。図書館という共通言語が広がったという感覚がある。

対話を振り返って

以上のように、テーマ毎に分かれて話し合いましたが、話し合われた内容は重なり合っていました。

例えばどのルームでも重要な点として資料のデジタル化やデジタルトランスフォーメーションへの対応が挙げられています。

また、意見交換では、情報にたどり着けるように館種の枠を越えてつながりを持つことや、立場に関わらず自分が公共に対して何ができるのか、という視点をもつことの重要性、オープンな場を作っていくことなどが話題になりました。

15:00以降は、アフタヌーンティータイムとして、さらに自由な意見交換を行いました。

リ・デザイン会議では今まで積み重ねた議論をまとめてビジョンにしたいと考えています。

サテライト配信会場の記録

新潟県長岡市

コワーキングスペース NaDeC BASEにて「場所・場」ルームがサテライト会場から配信され、会場から4名が「場所・場」のルーム対話会に参加しました。

会場入り口
畳ブースでの車座で対話の様子

福岡県北九州市

ミクニワールドスタジアム北九州 にて、当日サテライト配信会場が設営されました。

ミクニワールドスタジアム北九州 サテライト配信会場の様子

これまでの会議関連リンク