第4回会議:「図書館」(仮称)リ・デザイン会議’22夏を開催しました(2022年7月31日)

「図書館」(仮称)リ・デザイン会議では、2022年7月31日(日)に第4回「図書館」(仮称)リ・デザイン会議’22夏をオンラインで開催いたしました。本ページで、簡単に内容報告をいたします。

はじめに

本日のタイムスケジュールを案内するとともに、リ・デザイン会議行動規範を表示、説明しました。動画録画の一般公開はしませんが、この会議にどうしても参加できなかった会議運営メンバー等への報告のために使用します。

第4回会議タイムテーブル

13:30-はじめに
13:45-図書館(仮)リ・デザイン会議のこれまで
14:00-提言第0版の紹介
14:10- 提言までの道のり
休憩
14:25- 座談「2022年から未来へ」
15:25-図書館(仮)リ・デザイン会議へのお誘い・記念撮影
15:50-まとめ
最終的なタイムテーブル

図書館(仮)リ・デザイン会議のこれまで

「図書館」(仮称)リ・デザイン会議は50年後の「図書館(仮称)」を考える会議体として始まりました。

(司会からの補足)ゆるゆると会議を続けてきました。コロナ禍での休館によって貸出が出来ない状態になり、当たり前のサービスが休止することになりました。未来に向けて図書館の目指すところは、と考え続けてきました。2021年11月から春に向けて、提言0版に向けて話し合いを持ってきた。

提言第0版の紹介

ウィッシュリストについては、参加の皆さんの思いをふわっとまとめたものです。0版としてのまとめ、この会議に参加したいろんな方の思いがかかれています。

提言までの道のり

当日使用したスライドはこちらでご覧いただけます(Google スライド)

2021年11月21日のフォーラムでのワークショップが材料になって提言が生まれました。このときは、情報・人・場・役割・つながりというテーマごとにブレイクアウトルームに分かれて、話し合いました。

この時にでた内容を記録として残し、提言に反映していくという作業をしていきました。キーワードを抽出して、ジャムボードを使ってマッピングを行い、いったん整理したのち、文章化していきました。

編集会議ではブレイクアウトルームに分かれてブレストをしながら実際に文章を書いてみることになりました。

途中まであった「現在の課題」は提言から削除し、ウィッシュリストに含めました。提言に至るまでには、データや論文を参照した上で話し合いが行われてきました。

提言を複数人で作るにあたっては合意形成が課題でした。未来の「図書館」(仮称)像は1人1人イメージしているものが違っており、文章化できている人、図や絵のイメージはある人、立ち位置によっては、属性から逃れて発言することが難しい、図書館像を自分が語ってもいい?という遠慮がちな人もいました。

リ・デザイン会議は立場関係なく参加するものですが、立場によって言葉が伝わらないこともありました。時間をかけて話をし、3月16日に大枠を作りました。

ウィッシュリストは2050年までにやりたい具体的なことをまとめました。7月12日に公開し、現在はCC BY-SAのライセンス表示をつけています。

まとまるまでは行きつ戻りつしたが、議論したことは無駄ではなく、いろんな立場の人が居る中で考え続けることは、良かったと感じています。

座談「2022年から未来へ」

取りまとめ役を福島幸宏さん(慶應義塾大学)にお願いしました。提言編集会議に関わったメンバーからAraisyoheiさん(ウィキペディア日本語版管理者)、澤谷晃子さん(公立図書館司書)にまず提言のポイントや作成時の考えを発言してもらい、徐々にフロアに話を広げていく形で行いました。質問やフロアからの発言は主にチャットから拾う形でおこないました。

座談参加者自己紹介

澤谷さん:公共図書館司書。リ・デザイン会議には初期から参加、第3回の会議のときに提言作成に向けて動いていくことを提案した。

Araiさん:ウィキペディア日本語版管理者。初期から参加。楽しく提言を作っていけるようにと参加した。今回の0版を1版、2版にしていけたらいい。

福島さん:自治体職員のときに4年間図書館にいた。今は大学教員。リ・デザイン会議には2021年前半くらいまで出席。2022年4月、5月に復帰。

提言のポイント:刈り込みすぎないザラザラと「0」

澤谷さん:誰もが情報を活用する社会というのがキーワードではないか。書いていることはザラザラしている。でも大事なことを書いている。文章化できたこと、みんなでまとめるというところもよかった。

福島さん:ザラザラとは?

澤谷さん:きっちり整った文章ではない。ところどころとんがっていて、もっときれいにできるところもあるのではないか?持ち寄った言葉をそのまま使っている。みんなで提言をまとめる段階で、消したくなかった、消せなかった。それがザラザラ。やすりをかけてしまうとみんなで作ったということにならない。

福島さん:すでにやれていることも提言に書いている。その行間をどう埋めていくか。

Araiさん:今後行間を埋められる提言をつくる。「0」に込められた思い。どうやったら1になるか。0版が出たのは大きい。中身を濃くする?できている部分をカット?両方入ってくるのでは。

0版とは?

福島さん:「0版」を普通に受け止めていた。話し合って0にしたのか?

澤谷さん:0版ですよねって言った気がする。コロナが始まって2年も経っている。考え続けたことを形にしたいと思った。次の版へ、CC BY-SAで出しているので、それを生かした展開もあるといい。

コロナと図書館、社会

福島さん:コロナ始まって2年半、これは大きかった。コロナがなければ「図書館」(仮称)リ・デザイン会議はやれていない。コロナと我々の社会というのは本当に大きい。2年半の経験はうまく引き継がれていくのだろうか?多少の不安がある。戻ろうという力もある。情報とか教育で、やむを得ず変わったことをうまく財産として残していきたい。そのへんの話は提言・ウィッシュリストにも出ている気がする。社会がコロナ以前の状況に戻っていくなかで、コロナ経験をどう生かしていくか?

Araiさん:ウィッシュリストの話からいくと、(仮)という形で出している。議論で出てきたものをできるだけそのまま残そうよ、というのがウィッシュリスト。

Araiさん:この2年半起きたことをどうするか、ウィッシュリストを全部クリアしたらどんな社会になるか、それを描きたい。コロナがなかったらウィッシュの一部は抜ける気がする。別のウィッシュも入ってきたかもしれない。withコロナ、Afterコロナに向けて、バージョンアップを考えたい。

福島さん:ウイッシュリストが全部クリアされた社会、面白い。どうなるか考えたい。

澤谷さん:リ・デザイン会議の最初のころは悲壮な感じで集まっていたと思う。1年位経ったら頃から変わってきた。数年先にはできているかもしれない。どうやって情報を提供していくか、ということを考えたい。

澤谷さん:参加している人の立場・視点が違うので、ウィッシュリストは面白い。最初はバッサリカットするかと思ったこともあったが、ウィッシュリストの形になってよかった。

澤谷さん:第3回会議のとき、0を1にするのは人にしかできないというのを言った方がいて、それは提言に入れたかった。このコロナの状況に、2年半で耐性ができたのではないか。

福島さん:チャットから、ウィッシュリストがクリアされると、「真理がわれらを自由に」なるのかというコメントがあった。この会議ではウェブのツールを使いながら議論している。そういう意義があるのでは。

チャットコメントから

チャットから:ウィッシュリストなどをみて、複合館などで、「図書館的機能」を組み込む時の参考になると思いました。逆に図書館単独施設の必要性は薄れたように思えます。

チャット投稿者の発言:0版に感銘している。ザラザラ感があちこちに広がっていく中でこの提言が磨かれていく、図書館の部品になっていくと思う。

チャット投稿者の発言:コロナ前からの動きとして、図書館の本を使う、読書をするという役割から、図書館でいろいろな活動をするようなケースはコモンズなどもあったので、博物館等の機能も含め、図書館単独の機能から変わっていくのではと思った。

澤谷さん:地域に広がっていくというのは楽しみ。図書館以外のところでも使えるような、GLAMも含めた展開も考えられるのでは。

福島さん:公民館になりたいというウィッシュもあった。

森さん(チャットから):「図書館」が「すべての人にとって生きるためのしなやかさを育む機関」という定義は、とても素敵だと思いました。

チャット投稿者の発言:悲壮感、そうだった。よりどころが欲しかった。今日からのこと、もう少し先のことを考える、両方のためにリ・デザイン会議に参加することが必要だった。リ・デザイン会議で館のミッション・ビジョンを作るためのヒントを得た。みんなが考え続けることで、多様な広がりがあるのだと思った。絞り込まれていないことに可能性を感じた。

福島さん:図書館が今取り組もうとされている電子図書館のサービス事業に、リ・デザイン会議でのビジョンが繋がっているとしたら、すごいと思う。

Araiさん:ミッション・ビジョンを作る話、リ・デザイン会議は社会のスケールで考えてきたので、そういう役割を果たせていたら、我々がやってきたことがあながち間違いじゃないなと思える。

福島さん:なにかの事業の展開に影響しているとするなら、それぞれの場にここで得たものを持ち込んでもらって、持ち帰ってもらって、それがまたリ・デザインにも還元されたらいいと思った。

澤谷さん:コメントをくださった方が昔やっていたことと、今とつながっていると意識してくれて、それを発言してくれたのが良かった。

福島さん:この話が、図書館だけでなく、社会にひろがっていったらいい。

学校図書館について

学校図書館関係者からのチャット:学校図書館(仮称)について考える時期と思う

(このチャットには賛同のコメントが複数ありました。)

福島さん:学校教育自体も転換期だと思う。学校図書館は提言をまとめる会議のなかでどういう位置づけで議論されていたと理解したらいい?

澤谷さん:いちおう提言は公共図書館かなと思っていた。参加者はいろいろな立場のひとがいるので、学校図書館を外しているつもりはない。

Araiさん:提言を読んでもらうと、ウィッシュリストに議会図書室のことも出てくる。0版では学校の具体的なことにはまだ踏み込んでいない。今後の話題として出てくる可能性は十二分にある。まだ具体化されていない。

福島さん:チャットコメントで、館種を越えたいという話題はあるが、踏み込めていないという発言もあった。

福島さん:フロアから、司書課程の教員の方の発言:短大の授業で学校図書館を教えていたので、学校図書館のことをチャットに書いた。司書の勉強をしている子のなかには一定数昔ながらのイメージを大事にしている子もいるので、図書館の昔ながらの部分を消すのは難しいのでは。細分化するなり、いろいろな人の立場を考えて棲み分け、役割分担が大事ではと思っている。

福島さん:情報教育の中で学校図書館をどうするか。学校教育の情報化に関する政策文書に学校図書館は言及されてない。学校図書館とはもっと密になってもよいんじゃないかというチャットコメントもあった。公共図書館と関係を再構築している学校図書館も増えてきている。コメントで学校図書館は外に向かって開かれていないのではないかというあたり、発言お願いします。

福島さん:フロアから、参加者の発言:以前は学校も近くの人に開放したりしていたが、不幸な事件があって開放を中止したという前例がある。そのため、学校も開放しない傾向にある。指定管理を導入した際、個人情報の課題から学校図書館と公共図書館のオンラインを閉じたりしたこともある。やり取りはあるが、指定管理云々ではなく、そういう仕組みの壁があるのではと感じている。公共図書館より身近なところにあるので、もっと気軽に行けるようになるとよい。

福島さん:学校図書館という社会的装置をどう考えるか。学校図書館は小中高で全国に約3万5千ある。情報資源に触れる大きな拠点がある。学校図書館には大きな課題がありそう。公立図書館と学校図書館の連携に加えて、高大接続も大事というチャットコメントもあった。学校図書館への期待・役割は大きい。学校図書館について考えていかないといけない。最後に澤谷さん、Araiさんから、ここまでの話し合いで思ったこと、この方のこの発言について聞きたいということを聞きたい。

澤谷さん:やっぱり学校なんだなと思った。いろいろ思うがこの場では書けないという人もいると思う。思うだけじゃなくて一緒にやってほしい。実は図書館の人ではないけれど、リ・デザイン会議で提言を作るのに編集会議で一緒に走ってくれた方もいた。中の人間では見えていないものを指摘してくれたので、そういう立場から見えていたものを聞きたい。

Araiさん:チャットのコメントをざっと見て、初めて参加してくれた方のコメントから、司書のことについて課題があるんだろうなと感じた。そのあたりを聞きたい。

福島さん:課題に思うこととして、0から1にするためにもっとみんなの知恵をいただきたい。メンバーが固定するとアイデアも固定されてしまう。もう少しブレストしやすいフィールドをつくりたい。

福島さん:提言編集会議参加者の方、コメント投稿者の方、お二人からコメントを。

編集会議参加者から発言:数年前から改めて図書館に興味を持つようになって、この活動にも偶然参加した。近隣の図書館に行く。こうなったらよいな、こうなって欲しいと思っても、なかなか変わらない。変わるのは難しいけれど、開いて行けたらいい。そういう思いから自分の気持をリ・デザイン会議ではストレートに言ってきた。

チャット投稿者から発言:今日はじめて参加した。図書館に配属になって、図書館は宝の山だと思った。これがあったら仕事がうまくやれる。ちょうどタイミングが合って、高校に司書を配置した。図書館の利用教育を学校でやってもらわないと、公共のユーザーは増えない。当時はそう考えて公共が学校をサポートしているところは少なかったと思う。地方は情報に疎くなりがち。高知県に今関わっているが、高知県では合築なので小中高全てに関われる。地方でも情報に接することができる状況を作っていく。情報弱者を作りたくないので、成果をあげていきたい。

福島さん:高知出身なので、チャット投稿者さんのお話に共感する。コロナで情報格差が開いてしまったというチャットもあった。期せずして後半は学校図書館の話題になったが、やはりフルパッケージで考える必要があるということだと思う。

ザラザラと0版 これからどうするか

福島さん:ザラザラ感と0版、これが0版の特徴だが、学校図書館という大きな課題も出てきた。これらが提言の大きな宿題になる。

もう一つ、博物館法が今年変わった。来年度から施行される。法律が変わったことの影響は大きい。一方図書館法はしばらく変わっていない。著作権法も変わった。図書館法の改正も考えていく時期が来る。

個別の図書館レベルでやるミッション・ビジョンとは別にイシューをあげていく必要がある。

現在は図書館政策の主体が実質不在、全体を考えるために法を考える必要があるということを最後に置いておく。

図書館(仮称)リ・デザイン会議へのお誘い

広報班からお誘いのプレゼンを行いました。

記念撮影

最後に

司会より、対話が大事だと感じる時間でした。これからも「図書館」(仮称)リ・デザイン会議で対話を重ねていきたいと思います。

アンケート結果

今回のイベント参加者に対してアンケートを実施いたしました。その結果について、お知らせします。参加者の皆様におかれましては、アンケートへのご協力を賜りましてありがとうございました。

イベント最大参加人数:66人

イベントの認知経路

今回のイベント 開催告知は、ほぼWEBサイトのみを通じて行いました。

  •  Webメディア
  • メルマガ
  • SNS・ブログ
  • 知人・友人
  • その他

イベントの満足度

今回のイベントに対して、どのくらい満足していますか。(回答数31、うち未回答1)

  • 5 満足している 
  • 4 
  • 3 ほぼ満足
  • 2
  • 1 いまいち

リ・デザイン会議への参加経験

⭐︎イベントのみ参加の場合「その他」を選択してください

  • はい 
  • いいえ
  • その他

意見

今回のイベントに対して、ご意見・ご要望がございましたらお聞かせください。

【回答の中から】

学校図書館への視線・言及がないとの指摘がありました。学校図書館を会議のなかでいかに扱うかは、イベント中にチャットコメントも含めた議論で展開され、今後の課題となりました。

【気になるフレーズ、キーワード】

  • “利用者との接点”
  • “図書館とのファーストコンタクト、そして利用の継続”
  • “議会図書室” 
  • “集落支援” 

属性

  • 学生
  • 教員
  • フリーランス
  • 図書館
  • 博物館
  • 美術館
  • 公民館
  • MLAK以外の文化施設
  • マスコミ・メディア
  • 公的機関
  • その他

地域分布 

年齢

“未来”として想定している2050年を、参加者各々が何歳で迎えるか、会議で語られることがあります。(回答数:31)

年齢設定を100までにしました(0歳は誤入力と考えます)。46歳の5人が最多、83歳の回答もあります。