コロナ禍の福音|「図書館」(仮称)リ・デザイン Advent Calendar 2020

この世界にコロナ禍がもたらしたものは、波だ。誰もが忘れようとしていた不都合な事実や問題を浮上させ、展開させ、波を立てている。

コロナ禍は、ICT機器を利用できる者とできない者の格差を明らかにした。給付金の申請の際、窓口での書類申請より、オンライン申請の方が給付が早い、ということがあった。インターネット接続環境のない市民の方が所得が低く、給付金を必要としているのにも拘らず。この給付金申請の時期、勤務先の公立図書館はインターネット利用サービスを制限していたため、市民の手立てになることはできなかった。間に合ったのは国勢調査の時である。 

ITスキルなくインターネット未接続の人たちに、図書館ができること。それは蔵書の全てが知識や技術を身につける基になること、端末を利用する時間を提供することである。その時間に図書館員ができることは、電源を入れて端末を起動させる初歩から、どのように情報を探すのか、その情報をどう評価したら良いか、著作物と著作権法について説明するところまで、支援することだと思う。              

ところで、蔵書の全ては、書物に限らない。電子書籍、デジタルアーカイブも含まれる。そのため、アーキビストとしての技術も身につけたいと思っている。仕事上では資料の選書・受入・組織化・保存とレファレンスに重点を置いているが、個人的には、古文書の解読や研究・編集・(特集ではない)展示など、キュレーションができるようになりたい。そういう訳で、昨年からジャパンサーチのギャラリー機能で「箱根駅伝」に関する資料を収集したり、ワークスペースでCovid-19に関する資料・画像を集めている(研修中)。

それともうひとつ。個人的に「図書館」(仮称)リ・デザイン会議に参加して、図書館の像(カタチ)を探っている。ヒントになりそうなのは「図書館は知のアーカイブ構造のなかに位置づけられている」(根本彰)という言葉である。この言葉を聞いたとき、目の前が少し明るくなった気がした。主の道を、のイザヤの言葉ではないが。その方向で考えてみようと思う。

2020年12月24日

SigureUchita

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